公務員の副業ブログは許可される?収入・身バレ・国家地方の違いを整理

公務員の副業ブログは一律禁止ではありませんが、収益化の規模や継続性によっては事前の承認・許可が必要です。

人事院は、ブログなどでアフィリエイト収入を得ることだけで直ちに兼業になるわけではないと示しています。

ただし、国家公務員と地方公務員では根拠となる法律や運用が異なり、「所得20万円以下なら許可不要」「普通徴収なら職場に分からない」と単純に判断することもできません。

公務員の副業ブログは許可される?結論は「運営実態による」

公務員が個人ブログを開設し、記事を書くこと自体が、一律に禁止されているわけではありません。

判断の分かれ目になるのは、広告の有無だけではなく、営利目的、投稿の継続性・反復性、収入規模、職務への影響です。

人事院と内閣人事局が2024年6月に作成した「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」では、YouTubeやブログなどのアフィリエイトについて、収入を得ることだけで直ちに兼業になるわけではないと説明されています。

一方で、営利目的が明確で、投稿を継続・反復し、収入規模も大きくなれば、承認または許可が必要な兼業に該当する可能性があるとも明記されています。人事院+1

つまり、同じ「広告を貼ったブログ」でも、実態によって扱いが変わります。

たとえば、趣味の記録として不定期に記事を書き、結果として少額の広告収入が発生したケースと、収益を目的に事業計画を立て、毎週記事を投稿し、広告案件を継続的に受注するケースは同じではありません。

前者は兼業と判断されにくい余地がありますが、後者は事業としての外形が強くなります。

広告収入が1円発生した瞬間に違反になるわけでも、ブログなら無条件で認められるわけでもないというのが、現在の制度を読むうえでの基本です。

ここで注意したいのが、ネット上で見かける「ブログは情報発信だから副業規制の対象外」という説明です。

ブログの目的は、本人が付けた名称ではなく、実際の活動内容から判断されます。「趣味ブログ」と呼んでいても、広告案件を営業し、定期的に記事を制作して報酬を受け取っていれば、営利性や事業性が認められる可能性があります。

反対に、収益化していない個人的な情報発信であっても、職務上知り得た秘密の公開、勤務時間中の執筆、公用端末の利用などは別の服務上の問題になり得ます。

収入がないから何を書いてもよい、という話でもありません。


国家公務員と地方公務員の副業ブログは何が違う?

国家公務員と地方公務員では、兼業を制限する根拠条文が異なります。

大きな違いは、国家公務員には人事院が示す共通資料や承認制度がある一方、地方公務員は各自治体の規則や任命権者の判断による部分が大きいことです。

比較項目 国家公務員 地方公務員
主な根拠 国家公務員法第103条・第104条 地方公務員法第38条
基本構造 自営や有償活動は承認・許可制 報酬を得る事業・事務は許可制
判断主体 所轄庁の長など 自治体・教育委員会などの任命権者
ブログの扱い 営利目的、継続性、反復性、規模などで判断 自治体の規則・内規を含め個別判断
事前確認先 所属府省の人事担当部局 所属自治体の人事・服務担当部局

国家公務員の副業ブログ

国家公務員法第103条は、営利企業の役員を兼ねることや、自ら営利企業を営むことなどを制限しています。

第104条は、報酬を得て他の事業や事務に従事する場合の許可について定めています。いずれも、承認や許可を受ける仕組みが設けられており、条文上すべての収入活動が無条件で認められているわけではありません。法令検索+1

さらに、2025年12月19日に人事院が国家公務員の自営兼業制度の見直しを公表し、2026年4月1日から新制度が施行されました。

新制度では、「職員の有する知識・技能をいかした事業」と「社会貢献に資する事業」が、新たに承認対象となり得ることが示されています。人事院+1

これは、公務員の兼業が何でも自由になったという制度変更ではありません。

自営兼業として申請する場合には、開業届や事業計画書などによって事業の外形や計画性を示したうえで、次のような点が審査されます。

  • 官職と事業の間に特別な利害関係がないか
  • 本来の職務遂行に支障が出ないか
  • 公務の公正性や信頼性を損なわないか
  • 事業が本人の知識・技能を生かす内容などに該当するか

人事院のQ&Aでは、ハンドメイド品の販売、スポーツや芸術の教室、地域振興イベントなどが例として示されています。

ブログ運営そのものは例示されていませんが、本人の知識や技能を生かした事業として整理できる可能性はあります。ただし、実際に承認されるかは、各府省が事業内容を個別に審査します。人事院+2人事院+2

地方公務員の副業ブログ

地方公務員法第38条では、任命権者の許可を受けずに営利企業の役員などを兼ねたり、自ら営利企業を営んだり、報酬を得て事業・事務に従事したりすることを制限しています。法令検索

地方公務員の場合、具体的な許可基準は各自治体の規則に委ねられています。

そのため、国家公務員向けの人事院Q&Aを読んで「アフィリエイト収入だけなら許可不要」と結論づけるのは早計です。

たとえば広島市は、市職員の副業について、職員の職と事業者との間に特別な利害関係がなく、その発生のおそれもないこと、職務遂行に支障がなく、そのおそれもないことを許可判断の条件として公表しています。広島市公式サイト+1

これは広島市の例であり、全国の自治体に同じ基準が適用されるわけではありません。

自治体によって申請書類、認められる活動、時間数、収入報告、更新手続などが異なる可能性があります。地方公務員の副業ブログでは、法律だけでなく、所属先の服務規程や兼業許可基準まで確認する必要があります。

筆者としては、ここが最も見落とされやすい点だと感じます。

「公務員」という一つの言葉で検索しても、中央省庁職員、市役所職員、県職員、公立学校教員などでは、許可を判断する組織が違います。検索記事の結論を自分の職場へそのまま当てはめるのは、サイズの違う鍵で扉を開けようとするようなものです。


公務員のブログ収入はいくらから申告・許可が必要?

公務員の副業ブログを考えるときは、兼業ルールと税金を別々に考える必要があります。

よく出てくる「20万円」という数字は、一定の給与所得者における所得税の確定申告要否を判断する基準です。兼業許可が必要かどうかを決める共通基準ではありません。

20万円は「収入」ではなく「所得」で判断する

年末調整を受けた給与が1か所から支払われている人は、原則として、給与所得・退職所得以外の所得合計が20万円を超える場合、所得税の確定申告が必要です。

国税庁が示している基準も「売上や振込額」ではなく、必要経費を差し引いた後の所得金額です。国税庁+1

ブログの場合は、一般に次のように計算します。

ブログ所得=広告収入や成果報酬などの総収入-業務に必要な経費

たとえば、年間の広告収入が30万円、ブログ運営に直接必要な経費が12万円なら、単純計算による所得は18万円です。

ただし、家事や私生活と共用している通信費、パソコン代、電気代などは、支払額の全額を無条件で経費にできるわけではありません。業務に使用した部分を合理的に区分する必要があります。

国税庁も、副業に関する部分と私生活の部分が混在する支出については、副業に関係する部分が必要経費になると案内しています。国税庁

また、医療費控除などを受けるために確定申告をする場合は、副業所得が20万円以下でも、その所得を含めて申告する必要があります。

給与が複数の勤務先から支払われている場合などは条件が変わるため、「副業所得20万円以下なら誰でも申告不要」と覚えないほうがよいでしょう。国税庁+1

所得税の申告が不要でも住民税申告は別

所得税の確定申告が不要になるケースでも、住民税については申告が必要になる場合があります。

実際に仙台市は、給与所得者で給与以外の所得が20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要でも個人市県民税の申告が必要だと案内しています。手続の詳細は住んでいる市区町村で確認する必要があります。仙台市公式サイト

ここで押さえたいのは、次の二つの判断軸です。

  • 税務上の判断:所得税や住民税の申告が必要か
  • 服務上の判断:所属先の承認・許可が必要な兼業か

ブログ所得が20万円以下でも、継続的・反復的な事業として運営しているなら、所属先への申請が必要と判断される可能性があります。

反対に、兼業に該当しない小規模な広告収入であっても、住民税の申告が必要になることがあります。

20万円という数字は、税務と服務の間に引かれた共通の境界線ではありません。ここを混同しないことが、公務員の副業ブログで損を避けるための重要な確認事項です。

ポイントや家族名義なら収入にならないのか

ネット上には、広告報酬をポイントやギフト券で受け取れば収入にならない、家族名義にすれば本人の副業ではなくなる、といった情報もあります。

しかし、受け取り方や名義だけで活動の実態が消えるわけではありません。

国税庁は、ポイントについても、付与された理由や取引の実態によって課税対象となる経済的利益になり得ると説明しています。商品券やギフト券についても、税務上の評価が必要になる場面があります。国税庁+2国税庁+2

また、国家公務員の自営兼業に関する運用通知では、名義が他人であっても、本人が営利企業を営んでいると客観的に判断される場合は、自営に該当すると示されています。人事院

本人が記事を作り、広告を管理し、報酬を生み出しているのに、振込口座だけを配偶者名義にするような方法は、制度を正しく処理したことにはなりません。

税務、広告サービスの利用規約、家族側の所得申告にも影響するため、名義を使った「言い逃れ」を前提に運営するのは避けるべきです。


ブログ副業はバレる?住民税と身バレの仕組み

「ブログ副業は職場にバレるのか」という疑問に対しては、発覚経路は住民税だけではなく、普通徴収を選んでも発覚しない保証はないと答えるのが正確です。

公務員のブログ運営が知られる主なきっかけは、次のように複数あります。

  • ブログやSNSの投稿内容から本人が推測される
  • 同僚や知人に記事を見つけられる
  • 職場、職種、居住地域、家族構成などの情報が組み合わさる
  • 勤務時間中や公用端末で作業した記録が残る
  • 住民税や税務手続をきっかけに確認される
  • 広告案件や取引先とのやり取りから活動が知られる
  • 兼業申請が必要な規模になっても申請していない

普通徴収は「隠す手続」ではない

給与所得以外の所得に対する住民税については、確定申告の際に「自分で納付」を選び、普通徴収にできる制度があります。

国税庁の確定申告書作成案内にも、給与・公的年金等以外の所得に対する住民税の徴収方法を選択する項目があります。岡山市も、申告書で自分で納付する旨を記載した場合、給与所得以外の住民税を普通徴収にすると案内しています。国税庁+1

ただし、普通徴収は住民税の納め方を選ぶ手続であり、無許可の兼業を職場から隠すための制度ではありません。

ブログから本人が特定されたり、勤務上の問題が確認されたりすれば、住民税の徴収方法にかかわらず活動は知られます。

筆者としては、「バレない方法」を探すよりも、「知られても説明できる状態」を作るほうが現実的だと考えます。

許可が必要かを事前に確認し、勤務時間外に私物の端末で作業し、税務申告を正しく行っていれば、少なくとも隠すための説明を重ねる必要はありません。

匿名ブログでも身バレする情報の組み合わせ

顔や実名を出していなくても、細かな情報が積み重なると本人が推測されることがあります。

たとえば、「人口の少ない自治体」「特定の専門職」「今月異動した部署」「子どもの年齢」「休日に訪れた場所」などを同じブログやSNSで発信すると、単独では匿名情報でも、組み合わせによって対象者が絞られます。

公務員の副業ブログでは、次の情報を慎重に扱う必要があります。

  • 所属する自治体、府省、学校、施設が推測できる表現
  • 担当業務や異動時期、役職、勤務スケジュール
  • 職務で接した個人や事業者に関する情報
  • 庁内資料、未公表の制度、会議内容
  • 窓からの景色、職場周辺の写真、位置情報
  • 個人用SNSとブログ用アカウントを結びつける投稿
  • 本人しか知り得ない業務上の具体例

国家公務員には信用失墜行為の禁止、秘密を守る義務、職務専念義務などがあり、兼業とは別の服務規律も適用されます。

地方公務員にも同様に、信用失墜行為、秘密を守る義務、職務専念義務が定められています。ブログ収入の大小だけでなく、発信内容と作業方法も確認対象です。人事院+1

特に危険なのは、職務経験を記事の独自性として使おうとする場面です。

公務員として得た知識には、公表済みの制度や法令だけでなく、職務上知り得た非公開情報も混ざっています。自分では一般論のつもりでも、関係者や案件が特定できる書き方になっていないか、公開前に距離を置いて読み直す必要があります。

生成AIを記事作成に利用する場合も、業務資料、相談内容、個人情報、未公表情報などを外部サービスへ入力しないことが基本です。

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