教員・非常勤講師は副業ブログを運営できる?注意点とテーマ選び

教員・非常勤講師のブログ開設は一律禁止ではありませんが、収益化は所属先の規程により許可・届出が必要になり得ます。

特に、公立・私立・大学、常勤・非常勤、雇用・業務委託の違いで結論が変わります。広告を掲載してから確認するのではなく、収益化の仕組みを具体化したうえで、所属先へ事前に相談するのが堅実です。

※この記事はプロモーションを含みます。

教員・非常勤講師は副業ブログで収益化できる?

ブログを持つことと、ブログから報酬を得ることは分けて判断する必要があります。

無収益で一般的な情報を発信するだけなら、直ちに有償の兼業と同じ扱いになるとは限りません。一方、広告、アフィリエイト、企業案件、有料記事、教材販売などを始めると、営利活動や報酬を得る事務として扱われる可能性が高まります。

まずは、自分の立場に近い行を確認してください。

所属・働き方 ブログ開設のみ 広告・アフィリエイトなどの収益化 最初の確認先
公立学校の常勤教員 一律禁止とは限らないが、情報管理や信用への配慮が必要 地方公務員法第38条を踏まえ、原則として事前確認が必要 管理職、教育委員会の服務担当
公立学校の非常勤講師 「非常勤」という名称だけでは判断できない 任用形態、自治体規程により許可・届出の扱いが異なる 学校、教育委員会、人事担当
私立学校の教員・講師 雇用契約、就業規則による 届出制、許可制、制限付き容認など勤務先ごとに異なる 学校法人の人事・総務担当
国公私立大学の教員・非常勤講師 大学や契約ごとの規程による 報酬の有無にかかわらず手続き対象となる大学もある 所属部局、大学の人事・総務担当
業務委託の講師 委託契約の範囲による 兼業規程より、秘密保持・競業・肩書使用の条項が中心 契約先の担当者

この表は、個別の可否を決めるものではありません。

地方公務員法第38条は、任命権者の許可を受けずに自ら営利企業を営んだり、報酬を得て事業や事務に従事したりすることを制限しています。一方、同条には一部の非常勤職員に関する例外もありますが、短時間勤務職員などの除外があり、「非常勤なら第38条の対象外」と一括りにはできません。

活動別に見ると、いつ確認が必要になる?

法律や就業規則には、「ブログを何記事書いたら副業になる」といった全国共通の線引きはありません。

そこで、収益額だけでなく、継続性、契約、販売行為、肩書の利用を見て判断する必要があります。

  • 無収益でブログを開設する

報酬を得る活動ではありませんが、勤務先名の掲載、職務情報の利用、信用を損なう内容などは別の問題になります。

  • 広告やアフィリエイトを掲載する

記事が読まれたり、商品が購入されたりすることで継続的に報酬が発生する仕組みです。広告契約を結ぶ前に相談したほうが、後から説明が食い違いにくくなります。

  • 単発で原稿料や企業案件の報酬を受け取る

一度だけであっても、「報酬を得て事務に従事する」活動として確認対象になる可能性があります。金額が少ないことだけで手続き不要とは判断できません。

  • 有料記事や教材を販売する

商品内容、価格、購入者対応、返金、著作権など、広告収入より事業性が強くなります。勤務先の許可だけでなく、販売に使う教材の権利も確認が必要です。

  • オンライン相談や個別指導を受け付ける

ブログ運営に加えて役務を提供する形になります。生徒や保護者を顧客にしないこと、勤務先との競合や利益相反がないことも説明しなければなりません。

筆者としては、「月にいくら稼ぐか」よりも、誰と契約し、何を売り、教員という立場をどこまで使うのかを先に整理するほうが重要だと考えます。

収入がまだゼロでも、企業との契約や教材販売の準備まで進んでいれば、所属先が確認したい活動の実態はすでに生まれているからです。


教員の副業ブログに関係する法律・一次資料は?

教員の副業ブログについて、すべてを一冊で判断できる公的資料はありません。

公立教員には地方公務員関係の法令、私立学校には就業規則、大学には各法人の兼業規程、収入が出れば税務資料というように、複数の制度を重ねて確認します。

本記事で確認した主な一次資料は次のとおりです。確認日は2026年7月26日です。

資料名 制定・改定等 主な対象 この記事の結論との関係
地方公務員法第38条 現行条文を2026年7月26日確認 一般職の地方公務員 公立学校教員が営利活動や報酬を伴う業務を行う際の基本規定
教育公務員特例法第17条 現行条文を2026年7月26日確認 公立学校などの教育公務員 教育に関係する兼職等でも、本務に支障がないと任命権者が認めることが前提
文部科学省「教師等の兼職兼業について」 令和3年2月17日通知などを掲載 主に公立学校の教師等 地域クラブ活動など、活動ごとに通知や手引きが用意されている
厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」 2018年1月策定、2020年9月・2022年7月改定 主に民間企業の労働者と事業主 私立学校などで副業を制限する際の基本的な考え方を整理
厚生労働省「モデル就業規則」 2025年12月版 民間事業場 各法人が就業規則を作る際の参考。勤務先を直接拘束する規則ではない
国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」 2025年4月1日現在法令等 給与所得者 給与以外の所得が20万円を超える場合など、所得税の申告条件を確認する資料
横浜市「給与以外に副収入がある場合の住民税の申告は」 2026年4月1日更新 横浜市の住民税申告対象者 所得税の確定申告をしない場合でも、住民税申告が必要になる例を示す
東北大学AIMR「職員への兼業依頼」 ページ上に更新日記載なし、2026年7月26日確認 同研究所の教職員 報酬の有無を問わず事前許可とする大学の具体例

公立学校の常勤教員は地方公務員法第38条が出発点

公立学校の常勤教員は、一般に地方公務員として服務規律を受けます。

地方公務員法第38条では、任命権者の許可を受けずに、自ら営利企業を営むことや、報酬を得て事業・事務に従事することが制限されています。継続的な広告収入や商品販売を目的とするブログは、運営実態によってこの規定との関係を確認する必要があります。

教育公務員特例法第17条には、教育公務員が教育に関する他の職や事業に従事できる仕組みがあります。

ただし、教育に関係する内容なら自動的に認められるわけではありません。本務の遂行に支障がないと任命権者が認めることが条件です。

例えば、学習方法を解説するブログでも、広告、教材販売、個別相談を組み合わせれば、単なる教育情報の発信とは異なる性質を持ちます。

「教育ブログなので教育公務員特例法第17条で認められるはず」と自分で結論を出さず、活動内容を示して判断を求める必要があります。

文部科学省が公開する兼職兼業のページにも、部活動改革、地域クラブ活動、学校関係団体の事業など、対象となる活動別の通知や手引きが並んでいます。これは、公立教員の兼業が包括的に自由化されているというより、活動の内容ごとに手続きと条件を確かめる仕組みであることを示しています。

私立学校は就業規則と雇用契約で判断する

私立学校の教員や講師は、学校法人との雇用契約、労働条件通知書、就業規則が判断の中心になります。

厚生労働省は2018年1月にモデル就業規則を改定し、勤務時間外の副業・兼業を認める規定を設けました。副業・兼業のガイドラインは2020年9月と2022年7月にも改定され、解説パンフレットは2025年3月31日改定版が公開されています。

同ガイドラインは、副業を制限できる例として、労務提供への支障、秘密漏えい、競業による利益侵害、組織の名誉や信用を損なう行為などを挙げています。

ただし、モデル就業規則は勤務先の就業規則そのものではありません。

厚生労働省のページでも、モデルは各事業場が実情に応じて就業規則を作るための参考として位置付けられています。2025年12月版が最新として掲載されていますが、実際に適用されるのは勤務する学校法人の規程です。

大学教員は国公私立を問わず学内規程を確認する

大学では、兼業申請の対象、期限、時間数、報酬の扱いなどを独自に定めていることがあります。

東北大学の材料科学高等研究所AIMRは、本務以外に専門知識を提供する兼業について、報酬の有無にかかわらず事前許可が必要と案内しています。一般兼業の依頼期限は許可希望日の1~2か月前で、週15時間または月45時間を超える場合には兼業審査会の審査対象になるとしています。

これは東北大学AIMRの基準であり、他大学へそのまま当てはめることはできません。

むしろ注目すべきなのは、「無報酬なら手続き不要」「収入が少なければ申請不要」とは限らない大学が実在することです。

また、国立大学法人の職員は、現在の国家公務員そのものではありません。国立大学法人等の採用案内でも、職員は国家公務員ではないと説明されています。したがって、国家公務員の兼業制度を国立大学の非常勤講師全体へそのまま当てはめるのではなく、大学法人の就業規則や兼業規程を確認する必要があります。

非常勤講師は名称より任用・契約の中身を見る

非常勤講師には、自治体から任用される人、学校法人に雇用される人、大学と雇用契約を結ぶ人、授業単位で業務委託を受ける人がいます。

同じ「非常勤講師」という肩書でも、適用される法律や規程は同じではありません。

確認すべき書類は、次のとおりです。

  • 任用通知書
  • 労働条件通知書
  • 雇用契約書
  • 業務委託契約書
  • 就業規則
  • 服務規程
  • 兼業・副業規程
  • 秘密保持や競業に関する条項

国家公務員の非常勤職員に関する特例を見つけても、それを公立学校、私立学校、国立大学法人の非常勤講師へ横滑りさせてはいけません。

制度の名前が似ていても、雇用主、任命権者、職員としての身分が違えば、判断の土台も変わります。

調査方法と筆者の立場

本記事は、2026年7月26日時点で確認できた法令、行政機関、大学法人、自治体の公開資料をもとに、第三者の立場から整理しています。

筆者は、教員・非常勤講師としての勤務経験や兼業申請経験を持っていません。また、本記事の作成に当たり、教育委員会、人事担当者、社会保険労務士、税理士、弁護士への個別取材や監修は受けていません。

そのため、「この申請内容なら認められる」「この形なら却下される」といった実務上の結果は断定しません。

筆者の専門は、公開情報を比較し、見落としやすいリスクを整理するリサーチです。本記事も、許可の代わりになる回答ではなく、担当部署へ何を確認すべきかを明確にするための資料としてまとめています。


教員ブログで禁止・制限されやすい内容は?

収益化の許可を得られたとしても、何を書いてもよいわけではありません。

公立学校の職員には、地方公務員法上の信用失墜行為の禁止や、職務上知り得た秘密を守る義務があります。ブログが匿名であっても、これらの義務が消えるわけではありません。

生徒・保護者・同僚の情報は事例にしない

名前を伏せれば掲載できるとは限りません。

次の情報を組み合わせると、本人や学校が推測される可能性があります。

  • 都道府県や市区町村
  • 学校種や学年
  • 担当教科
  • 部活動
  • 行事が行われた日
  • 家庭環境や進路
  • 珍しい出来事や相談内容
  • 同僚の役職や発言

「関東地方の中学校」「昨年の秋」「運動部の生徒」とぼかしても、関係者が読めば分かることがあります。

筆者としては、実話を少し加工するよりも、職務上知った個別事例を使わず、公表資料や完全な架空設例から書き起こすほうがよいと考えます。

記事の臨場感を少し失っても、誰かの生活や進路を検索可能な情報として残さないことのほうが大切です。

公開を避けたい内容には、次のようなものがあります。

  • 生徒の成績、病歴、障害、進路、家庭事情
  • 保護者との面談や苦情の内容
  • 同僚の人事、勤務状況、健康状態
  • 未公開の試験問題、採点基準、評価資料
  • 校内会議の内容や内部文書
  • 公表前の事故、不祥事、トラブル
  • 校内で撮影した写真、動画、音声
  • 学校のセキュリティや運用上の弱点

ペンネームは規程を回避する道具ではない

ペンネームには、検索結果に本名を残しにくくしたり、生徒や保護者との距離を保ったりする利点があります。

ただし、匿名であることと、規程上許されることは別問題です。

特定の手掛かりになりやすいのは、記事本文だけではありません。

  • ブログと個人SNSで同じ写真を使う
  • 同じハンドルネームを複数サービスで使う
  • 写真の背景に校内資料や地域名が写る
  • 勤務日、行事日、休暇日を細かく書く
  • 珍しい経歴や担当科目を並べる
  • 学校内部だけで使う呼称を書く

一つひとつは小さな情報でも、積み重なると輪郭が浮かびます。

ペンネームは「発覚を防ぐ壁」ではなく、公私の境界を整える薄いカーテンくらいに考えるのが現実的です。

授業用教材をそのままブログへ載せない

授業で利用できた文章、図版、問題、新聞記事、教科書の一部を、個人ブログにも掲載できるとは限りません。

文化庁の2026年度著作権テキストは、学校における著作物の公衆送信に関する制度が「授業の過程における利用」に限られ、あらゆる場面で他人の著作物を公衆送信できるわけではないと説明しています。一般公開の収益ブログは、授業内の配信と同じ前提では扱えません。

自分で作成したプリントであっても、次の点を確認してください。

  • 職務として作成した著作物ではないか
  • 学校や共同制作者との権利関係はどうなっているか
  • 教科書や問題集の文章・図版を含んでいないか
  • 市販教材の代替になる量を転載していないか
  • 引用の必要性、主従関係、出典表示を満たしているか

「教育目的だから使える」という理解は危険です。

授業で児童生徒へ配布する利用と、不特定多数へ公開し広告収入を得る利用では、目的も範囲も異なります。

教材アフィリエイトは利益相反を点検する

教員が書籍、教材、文具、ICTサービスを紹介すること自体が、直ちに問題になるとは限りません。

ただし、紹介によって報酬を受け取る場合は、「教育上の評価」と「自分の収益」が重なります。

私は、次の4項目を利益相反の点検軸として使うと分かりやすいと考えます。

1. 選定への影響
自分が勤務先の教材や機器の選定に関わっていないか。
2. 読者との関係
自校の生徒や保護者に購入を促す構造になっていないか。
3. 肩書の利用
学校名や役職を、商品の信頼性を高める材料として使っていないか。
4. 報酬の透明性
紹介によって報酬が発生することを明示しているか。

特に、自分が選定に関与できる商品を紹介し、勤務先の関係者が購入し、その売上から報酬を得る形は慎重に扱うべきです。

広告であることを表示しても、利益相反そのものが消えるわけではありません。利害関係が強い場合は、紹介を見送る判断も必要でしょう。


副業ブログの許可申請では何を説明する?

所属先へ「ブログを始めてもよいですか」とだけ聞くと、担当者も判断できません。

ブログには、無収益の日記から、広告事業、受託執筆、教材販売、オンラインサービスまで幅があるからです。

申請や相談では、少なくとも次の項目を一枚にまとめます。

1.ブログの運営主体とテーマ

個人で運営するのか、事業者名を使うのかを明記します。

テーマは「教育関係です」と広く書くより、「公開資料を使った社会人向け学び直し」「読書・文具の紹介」など、扱う範囲を具体化したほうが伝わります。

2.収益化の方法

予定している収益を分けて記載します。

  • 広告配信サービス
  • アフィリエイト
  • 企業からの執筆依頼
  • 商品提供を伴うレビュー
  • 有料記事
  • 電子書籍
  • 教材販売
  • オンライン相談
  • 講座や個別指導

最初は広告だけでも、将来ほかの方法を追加する可能性があるなら、その際に再申請が必要か確認しておきましょう。

3.肩書と勤務先情報の扱い

実名かペンネームか、教員であることを書くか、学校名を掲載するかを説明します。

勤務先の公式見解や推薦と誤解されないよう、学校名、校章、学校のメールアドレス、職務上の名刺などを使わない方針も示します。

4.作業時間と本務への影響

平日と休日の作業時間を分けて書きます。

厚生労働省のガイドラインは、副業によって就業時間が長くなる可能性があるため、本人による時間・健康管理が必要だとしています。また、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務への注意も示しています。

ブログは通勤を伴わないため、負担が小さく見えます。

しかし、執筆以外に、調査、画像作成、サイト管理、広告管理、メール対応、会計記録などが発生します。

「週3時間」と申請するなら、記事を書く時間だけでなく、周辺作業も含めて現実的に見積もる必要があります。

5.情報管理の方法

次の方針を明記すると、担当者が判断しやすくなります。

  • 生徒、保護者、同僚の事例を扱わない
  • 校内資料や未公開情報を使用しない
  • 校内や勤務時間中に作業しない
  • 学校の端末、ネットワーク、アカウントを使わない
  • 学校名や公的立場を広告に利用しない
  • 公開情報の出典と確認日を記録する

「注意します」だけでなく、何をしないのかを具体的に書くことがポイントです。

6.利益相反への対応

商品紹介を行う場合は、勤務先での教材・機器選定に関与しているかを伝えます。

記事内で広告・PRを明示すること、メリットだけでなく欠点や対象外の人も書くこと、自校の生徒や保護者を販売対象にしないことなども整理します。

7.許可・届出の有効範囲

許可を受けた後に、次の変更があった場合の扱いも確認します。

  • テーマを変更した
  • 収益化方法を追加した
  • 売上や作業時間が増えた
  • 法人化した
  • 教材販売を始めた
  • 企業と継続契約を結んだ
  • 勤務先や雇用形態が変わった

許可は、一度取れば将来の活動すべてを覆う通行証とは限りません。

相談内容、回答日、担当部署、許可条件を保存し、活動内容が変わるたびに見直すほうが堅実です。

説明が通りにくくなると考えられる運営形態

全国共通の却下基準は公表されていません。

ただし、法令やガイドラインに示された制限理由から考えると、次の要素が重なるほど、許可や説明の難度は上がると考えられます。

  • 平日深夜まで継続的に作業する
  • 勤務校の生徒や保護者を顧客にする
  • 校内情報を記事の中心にする
  • 学校名や役職を商品の推薦材料にする
  • 自分が選定する教材から報酬を得る
  • 勤務先と競合する教育サービスを販売する
  • 苦情対応や納品期限が本務へ影響する
  • 収益化方法を曖昧にしたまま申請する

ここで大切なのは、「ブログだから軽い副業」と説明することではありません。

問題になり得る点を自分から示し、それをどう管理するか説明することです。隠した項目が後から見つかるより、最初から条件として相談したほうが信頼を保ちやすくなります。

税務は売上ではなく所得を記録する

広告料やアフィリエイト報酬が発生した

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