公務員の副業アフィリエイトは違反?国家・地方別のルール

自宅のデスクでノートパソコンを開き、法令の資料を確認しながらブログ画面を見つめる40代男性のシーン 公務員の副業

公務員の副業アフィリエイトは、一律に違反というわけではありません。人事院・内閣人事局のQ&A集(令和6年6月版)では、アフィリエイト収入を得ることだけをもって兼業には該当しない、という趣旨の見解が示されています。

ただし判断の物差しは「①収入の金額・安定性、②活動の頻度・継続性、③本業への影響」の3点で、営利目的・反復性・規模によっては承認や許可が必要になる可能性があります。

この記事では、国家公務員と地方公務員それぞれのルール、人事院・総務省の公式見解、実際の処分事例、副業が職場に知られる経路と注意点まで、調べた事実を整理してお伝えします。

公務員の副業アフィリエイトは違反なのか?結論から

結論を先に言うと、「単に広告収入を得るだけでは兼業に該当しない」というのが、人事院・内閣人事局が示している公式の考え方です。

根拠となるのは、内閣人事局・人事院が公表した「一般職の国家公務員の兼業についてQ&A集」(令和6年6月版)です。

このQ&A集には、「YouTubeやブログ等でアフィリエイト収入を得ることはできますか」という問いに対し、基本的にアフィリエイト収入を得ることだけをもって兼業には該当しない、という趣旨の回答が掲載されています。

なお、ここで紹介しているのは原文の一字一句そのままの引用ではなく、Q&A集の内容を私の言葉で要約したものです。正確な文言は、人事院・内閣人事局が公開している資料の原文で確認することをおすすめします。

ただし、続きがあります。営利目的かどうか、投稿の継続性・反復性、規模(主に収入額)によっては、承認または許可が必要な兼業に該当する可能性がある、ともされています。

判断の目安は、冒頭で触れた次の3点です。

  • 収入の金額と安定性(規模が大きく、毎月コンスタントか)
  • 活動の頻度と継続性(反復的・計画的に運営しているか)
  • 本業への影響の有無(職務専念義務に支障がないか)

つまり「全面OK」でも「全面NG」でもなく、この3つの物差しに照らして取り組み方の中身で判断される、というのが正確な理解です。

私は昔、勢いだけで物販を始めて在庫を抱えた経験があり、「調べる前に動く」ことの怖さを身をもって知っています。だからこそ「解禁されたらしい」と勢いで始める前に、ここから先の各論を確認してほしいのです。


国家公務員と地方公務員でアフィリエイトのルールはどう違う?

まず、法律上の建て付けを整理しておきます。ここが分かると、判断の軸がぶれにくくなります。

国家公務員の副業を制限しているのは、国家公務員法第103条(営利企業への従事等の制限)と第104条(他の事業・事務への関与の制限)です。

一方、地方公務員は地方公務員法第38条で、営利企業への従事等が制限されています。

いずれも「原則は許可制」という構造は共通しています。ただし、そもそも「兼業に該当しない収入活動」であれば、許可自体が不要という整理になっています。

両者の違いを簡単に表にまとめます。

| 項目 | 国家公務員 | 地方公務員 |
|—|—|—|
| 根拠法 | 国家公務員法第103条・第104条 | 地方公務員法第38条 |
| 公式見解の出どころ | 内閣人事局・人事院のQ&A集(令和6年6月) | 総務省「地方公務員の兼業について」(令和6年9月30日) |
| アフィリエイトの扱い | 収入を得るだけでは兼業に該当しないとの趣旨を明記 | 国の考え方を踏まえつつ、運用は各自治体の判断 |
| 実務上の判断者 | 所属府省 | 所属自治体(例規・人事担当) |

ここで大事なのは、地方公務員の場合、最終的な運用は所属自治体ごとに差があるという点です。

国の見解が示されていても、自治体の例規集や内部運用が別途あるため、「人事院がOKと言っているから自分の役所でも問題ない」とは言い切れません。

元公務員のブログでも、「最終的な基準はあいまいで、所属自治体のさじ加減と言えてしまう部分がある」と率直に指摘されていました。この感覚は、リサーチャーとして私も同意見です。


許可不要とされる例と、許可が必要になりうる例

では、具体的にどんなケースが「兼業に該当しない」とされ、どんなケースが「許可が必要かもしれない」のか。公式Q&Aの考え方と、前述の解説記事から読み取れる整理を紹介します。

※画像はAIによるイメージ

許可不要と考えられるケース(趣味の延長レベル)

  • 趣味ブログに広告を貼っていたら、結果として少額の収入が発生した
  • 商品レビュー記事を書いたところ、偶然アフィリエイト報酬が発生した
  • 営利目的で継続的・反復的に運営しているとは言えない、小遣い稼ぎの範囲

要するに、「収益化を主目的とせず、結果として広告収入が付いてきた」という状態です。

ひとつ注意を添えると、Q&A集に「月いくらまでならOK」という明確な金額基準は示されていません。「月数千円なら大丈夫」といったネット上の目安は、あくまで各発信者の解釈であって、公式のラインではない点は押さえておいてください。

許可が必要になりうる要注意ケース

  • 明確に収益を狙い、戦略的にサイトやSNSを運営している
  • 収益目的で毎週ブログを更新・SNSを運用し、月に安定した収入がある
  • コンサルティング、PR案件、商品紹介の受託など、個人事業に近い活動をしている
  • 活動量や時間投下が本業に支障をきたすレベルになっている

これは私の解釈ですが、3つの物差し(金額・継続性・本業への影響)は、「事業と呼べる実態があるかどうか」を測る基準だと考えると腑に落ちやすいと思います。

税務の世界でも「事業所得か雑所得か」は継続性・規模で見られますから、発想としては近いものがあります。

なお、国家公務員が不動産賃貸などの自営に当たる活動を行う場合は、人事院規則に基づき所属府省を通じて承認申請(自営兼業の承認申請書)を行う建て付けです。地方公務員は自治体ごとに様式・窓口が異なるため、実際に申請を考える段階では所属の人事担当に確認するのが確実です。


実際に処分された事例はある?YouTube広告収入115万円で減給のケース

「該当しない範囲なら大丈夫」とはいえ、無断で規模の大きい副業をした場合のリスクは軽視できません。

ネット広告収入をめぐる処分事例として代表的なのが、和歌山市消防局のケースです。2022年1月、和歌山市は北消防署に勤務する33歳の男性消防士長を減給10分の1・1か月の懲戒処分としました。この消防士長は2020年12月から2021年10月にかけて、YouTubeにゲーム実況動画を314本投稿し、約115万円の利益を得ていたもので、総再生数は約227万回に上りました。

市は、動画投稿で金銭を得る行為が地方公務員法で原則禁じられている副業に当たると判断しています。

発覚のきっかけは、「消防士が動画を投稿している」という匿名の情報提供でした。本人は動画に顔を出していなかったにもかかわらず、調査で特定されています。

さらに規模が大きい事例もあります。佐賀広域消防局では、約7,000万円の賃貸収入を得ていた男性消防副士長が、規模縮小の改善命令に従わなかったとして懲戒免職処分となったことが報じられています。

アフィリエイトそのものの事例ではありませんが、いずれも「ネットや副収入の規模が事業レベルに達していた」点が共通しています。許可を得ないまま収入規模が大きくなると、減給や免職といった処分に直結しうることを示す実例と言えます。

私見を添えると、和歌山の事例で注目すべきは「約1年・314本・毎月コンスタントな収益」という活動実態です。まさに先ほどの3基準(金額・継続性・影響)のうち、金額と継続性が明確に「事業側」に振れていたケースだと読めます。


公務員の副業がバレる理由は?知られる経路と注意点

処分事例の多くは、匿名の通報や情報提供が発覚のきっかけになっています。では、副業が職場に知られる経路にはどんなものがあるのでしょうか。

一般的に挙げられるのは、次のような経路です。

  • 住民税の課税情報(給与以外の所得が合算されて勤務先に通知され、経理担当が気づく)
  • 実名や勤務先が分かる形での情報発信
  • 同僚への何気ない一言や、人づての噂・通報
  • 勤務時間中に副業関連の作業をしている姿を見られる
  • 本業のパフォーマンス低下から怪しまれる

対策として、確定申告時に住民税の納付方法で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶ方法がよく紹介されます。ただし普通徴収を選べるのは原則として給与以外の所得部分であり、自治体によっては運用上認められない場合もあるため、万能の方法ではありません。

発信アカウントを実生活と切り離す、職場では話さない、勤務中は本業に専念する、といった基本の徹底も紹介されています。

ただし、ここは強く注意点を添えます。そもそも許可が必要な規模の活動を「バレない工夫」でごまかすのは本末転倒です。

和歌山の事例でも、収益の入金先を家族口座にしていたことが報じられていますが、結果的に処分は免れていません。対策はあくまで不要な詮索やトラブルを避けるためのものであり、ルール上グレーな活動を隠す道具にしてはいけない、というのが私の立場です。


職場への相談はいつすべき?収入が増えてきたときの考え方

「迷ったら人事に相談を」というのが建前ですが、ここには現実的な難しさもあり、発信者によって意見が分かれています。

慎重派の代表は、元公務員の発信者の視点です。公務員の副業はまだ前例が少なく、人事は前例のないことに慎重になりがちで、相談したことで必要以上に制限されたり、同僚から偏見を持たれたりするリスクが指摘されています。

一方、税理士による解説では逆の視点が示されています。本業を辞めるつもりがない人ほど、就業ルールを確認し、できれば事前に相談したほうが安全だという考え方です。無断で始めて後から発覚した場合の処分リスクを考えると、先に確認しておくほうが結果的に守りになる、という発想です。

両論を制度の建て付けに照らして評価すると、私は「原則許可制」という仕組みの趣旨からして、税理士側の発想のほうが筋は通っていると考えます。許可制とは本来、活動を始める前に組織がチェックする仕組みだからです。

とはいえ、そもそも兼業に該当しない趣味レベルの活動まで相談する義務はありません。そこで私の結論はこうです。

「収益化を主目的としない趣味の延長なら、まず所属先の例規集を自分で確認する。活動が反復的・計画的になり、収入が安定し始めたと自覚した時点で、人事に相談または兼業承認の申請を検討する」

相談のタイミングを「始める前」ではなく「事業性が出てきた瞬間」に置く、という整理です。ゼロの段階で相談しても人事は判断材料を持ちませんが、実態が固まってからでは遅い。その中間を狙うのが現実的だと考えています。

なお冷静に見ておきたいのですが、ブログアフィリエイトで安定した収入を得ること自体、相当ハードルが高いのが実情です。一時的にアクセスが集まっても継続は難しく、新規参入者が次々に現れるため優位性は長続きしにくい。

だからこそ「たくさん稼いだらどうしよう」は、稼げてから検討しても間に合う心配とも言えます。まずは公務に支障のない範囲で、少額・短時間から始めるのが現実的でしょう。

※画像はAIによるイメージ

考察:人事院Q&Aが示す意味と、公務員副業の今後

ここからは、物販や副業の情報を長く調べてきた立場としての私見です。

「判断の物差し」が文書化された意義

まず、人事院・内閣人事局がQ&A集という形で「アフィリエイト収入だけでは兼業に該当しない」との趣旨を文書で示したこと自体に、大きな意味があると考えています。

これまで公務員の副業ブログは「規定上どう扱われるか分からない」という不安が最大の壁でした。判断の物差し(営利目的・継続性・規模)が公式に示されたことで、少なくとも「何を基準に自分の活動を点検すればいいか」が分かるようになったわけです。

一方で、気になるのは国と自治体の温度差です。

総務省も令和6年9月30日付で地方公務員の兼業に関する資料を出していますが、実際の運用は各自治体の例規と人事担当の判断に委ねられます。同じ活動でも、A市では問題視されず、B町では注意される、ということが起こりうる構造です。

この「自治体ごとの運用差」は、しばらく解消されないだろうと見ています。前例の少ない領域では、組織は慎重に振る舞うものだからです。

今後の見通し:緩和の流れは本物か

今後については、緩やかな明文化・緩和の方向に進むと考えられます。根拠は3つあります。

1つ目は自治体側の先行事例です。神戸市は2017年に職員の地域貢献活動を報酬付きで認める制度を設け、奈良県生駒市も同時期に副業の許可基準を明確化したことが報じられました。

2つ目は国の動きです。人事院は2019年に国家公務員の兼業許可の考え方を通知で明確化しており、総務省も2020年1月、各自治体に対して兼業の許可基準の設定などを促す通知を出したと報じられています。つまり令和6年のQ&A集は突然の方針転換ではなく、数年かけた明文化の流れの延長線上にある、というのが私の見立てです。

3つ目は、民間で副業・兼業の促進が政府の働き方改革の文脈で進んできたことです。官だけが完全に例外であり続けるのは、人材確保の面からも難しくなっていくでしょう。

ただし、公務員には中立性や信用の維持という特有の要請があります。民間と同じスピードで自由化されるとは考えにくく、「小さく・誠実に・記録を残しながら」始める人が、結果的にいちばん長く続けられるのではないか、というのが筆者としての見立てです。

私自身、在庫を抱えた失敗から学んだのは「調べる手間を省いた分は、あとで損失として返ってくる」ということでした。

公務員のアフィリエイトも同じです。人事院Q&A集の原文、総務省の資料、そして自分の所属先の例規集。この3つを自分の目で確認する地味な作業が、結局いちばんの近道になります。


まとめ:公務員の副業アフィリエイトは「規模と取り組み方」次第

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 人事院・内閣人事局のQ&A集(令和6年6月)では、アフィリエイト収入を得るだけでは兼業に該当しないとの趣旨が示されている
  • ただし営利目的・継続性・反復性・収入規模によっては、承認・許可が必要な兼業に該当する可能性がある
  • 判断の目安は「収入の金額・安定性」「活動の頻度・継続性」「本業への影響」の3点。明確な金額基準は示されていない
  • 国家公務員は国家公務員法第103条・104条、地方公務員は地方公務員法第38条が根拠で、地方は自治体ごとの運用差が大きい
  • 和歌山市では、YouTube広告収入約115万円(動画314本・約227万回再生)を無断で得た消防士長が2022年1月に減給10分の1・1か月の処分を受けた実例がある

制度の運用は変わる可能性がありますから、最新の情報は人事院・総務省の公式資料と、所属先のルールで確認することをおすすめします。


よくある質問

公務員がブログでアフィリエイト収入を得るのは法律違反ですか?

一律に違反ではありません。人事院・内閣人事局のQ&A集(令和6年6月版)では、アフィリエイト収入を得ることだけをもって兼業には該当しないとの趣旨が示されています。ただし営利目的・継続性・収入規模によっては許可が必要な兼業に該当する可能性があり、活動の実態で判断されます。

地方公務員と国家公務員でアフィリエイトのルールは違いますか?

根拠法が異なります。国家公務員は国家公務員法第103条・104条、地方公務員は地方公務員法第38条です。国のQ&A集は国家公務員向けの整理で、地方公務員は総務省の資料(令和6年9月30日付)を踏まえつつ、最終的な運用は所属自治体の例規や判断によります。

趣味ブログの広告収入が少額なら許可は不要ですか?

Q&A集の考え方に照らすと、趣味の延長で継続的・営利的な運営とは言えない小規模な収入であれば、兼業に該当せず許可不要と整理される可能性が高いと考えられます。ただし公式に「いくらまで」という金額基準は示されておらず、自治体や職場ごとの運用差もあるため、所属先のルール確認が前提です。

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