副業開始に必要な手続き一覧|個人事業主になるタイミングも解説

会社員が副業の帳簿、就業規則、開業届の書類を机に並べて落ち着いて確認している場面 未分類

副業開始では、開業届より先に勤務先の規則、取引記録、扱う商品の許認可を確認することが重要です。物販・せどりは在庫が残るため、売上だけで判断せず、税務と資金繰りを同時に整える必要があります。

「副業を始めたら、すぐ個人事業主にならなければいけないのか」「開業届はいつ出すのか」「売上が20万円以下なら確定申告は不要なのか」。会社員が物販や業務委託の副業を検討すると、こうした疑問が一度に出てきます。

結論からいえば、開業届は副業を始めたすべての人が同じタイミングで出す書類ではありません。副業の内容、継続性、所得、許認可の要否を整理しながら、必要な手続きを判断します。

物販では、仕入れた商品の代金が先に出ていき、売れ残れば在庫として残ります。入金額だけを見ていると、利益が出ているのか、資金が商品に変わっているだけなのかを見失いやすい点が特徴です。

著者:黒田 慎一(堅実派のせどり・物販リサーチャー)
更新日:2026年8月26日
調査方針:国税庁、警察庁、都道府県警察、自治体などの一次情報を中心に確認し、物販では仕入れ・販売・在庫・許認可を分けて検討しています。過去に勢いで仕入れて在庫を抱えた経験から、利益計算と販売可否の確認を先に置く考え方を大切にしています。
注意:税務、許認可、勤務先との関係は個別事情で扱いが異なります。申告や許可の判断は、所轄税務署、都道府県警察、自治体、税理士、行政書士などに確認してください。

副業開始の手続きは何から始める?最初に確認する3点

副業開始時に優先するのは、就業規則の確認、売上・経費の記録開始、業種ごとの許認可確認です。 開業届や青色申告は、その後に副業の実態と期限を見て判断します。

会社員の副業は、税務署へ書類を出せば完了するものではありません。勤務先のルール、何を売るか、継続的な取引になるかで、先に確認すべきことが変わります。

確認・手続き主な対象者先に見るポイント
就業規則・雇用契約会社員全般副業の許可制、申請、競業避止の有無
売上・経費・証憑の記録副業を始める人所得計算、確定申告、利益確認の根拠
業種の許認可該当する副業中古品、食品、酒類、化粧品などの規制
開業届新たに事業を開始した人所得税上の届出と提出期限
青色申告承認申請書青色申告を希望する人申請期限、記帳・保存の要件
確定申告・住民税申告所得や条件に応じる人売上ではなく所得で判定すること

この順番には理由があります。たとえば、開業届を提出しても勤務先の事前申請をしていなければ、社内規程上の問題は残ります。

また、青色申告を希望しても、仕入れや送料の証拠を残していなければ、申告時期に帳簿を作り直す負担が増えます。副業は始める瞬間よりも、数か月後に取引を説明できる状態を保つことが大切です。

この節の要点は、書類の提出より先に「勤務先・記録・許認可」を確認することです。 物販では、とくに仕入れ前の確認が後の在庫リスクを左右します。


副業開始前に就業規則で何を確認する?

副業の可否は、まず勤務先の就業規則、雇用契約、社内規程で確認します。 税務上の手続きと、会社員として守るべきルールは別の話です。

副業を認めている会社でも、事前申請、競業の禁止、本業への支障防止などの条件を設けている場合があります。副業可という一文だけで判断せず、細かな条件まで読みましょう。

  • 副業開始前に上司や人事へ申請・届出が必要か
  • 同業他社、取引先、競合する事業での活動が制限されていないか
  • 本業の勤務時間中に副業作業をしないことが定められているか
  • 会社のパソコン、アカウント、備品、顧客情報を使わないこと
  • 疲労や長時間労働で本業に支障が出た場合の扱い
  • 会社名や役職を副業の宣伝に利用してはいけないか

副業の制限には、情報漏えい、利益相反、信用維持、労務管理といった背景があります。物販なら、勤務先の取引先と競合する商品を扱わないか、職場の保管場所や配送設備を使わないかも確認材料になります。

私は、仕入れ候補を探す前に就業規則を読むことを勧めています。利益が見込めそうな商品を見つけた後で社内ルールに気付くと、やめる判断が感情的になりやすいためです。


開業届を出す人・急がない人は?副業の実例で整理

開業届は、新たに事業を開始した人が検討する届出です。副業の種類だけで一律に決まるものではなく、実態を踏まえて判断します。

国税庁「開業する場合」および「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」では、個人事業の開業・廃業等届出書について、事業を開始した年分の所得税の確定申告期限までに提出する案内があります。公開前には、国税庁の最新ページと所轄税務署で確認してください。

副業の状況を当てはめると、考え方は次のように整理できます。

副業の例開業届の考え方税務・許認可で見る点
継続的に中古品を仕入れて販売するせどり事業開始の実態があるかを踏まえて提出を検討所得計算、在庫、古物商許可の要否
自宅の不用品を単発で売却ただちに事業開始とは限らない仕入れ販売との違い、取引の性質
継続的な業務委託副業継続性や事業としての実態を踏まえて検討報酬明細、必要経費、源泉徴収の有無

たとえば、継続的に商品を仕入れ、販売先を複数使い、仕入れ・在庫・利益を管理しながら物販を続ける場合は、個人事業としての実態が強くなります。開業届や青色申告の準備を早めに検討する意味があります。

一方、自宅の不要品を整理して数件販売しただけなら、営利目的で中古品を反復して仕入れ販売する物販とは性質が異なります。ここで大切なのは「フリマアプリを使ったか」ではなく、何を、どのように取得し、どのような目的で売ったかです。

業務委託の副業も同様です。単発の仕事なのか、継続的に受注しているのか、経費や報酬の記録があるかで、実務上の整理が変わります。

開業届は、個人事業主という肩書を得るための飾りではありません。事業開始の実態と税務手続きをそろえるための届出です。

この節の要点は、開業届の有無よりも、まず副業の実態を説明できるかを見ることです。 判断に迷う場合は、開始日、仕事内容、取引回数、売上・経費の記録を整理して税務署へ相談すると確認しやすくなります。


開業届と青色申告の違いは?提出期限と帳簿の条件

開業届は事業開始の届出で、青色申告承認申請書は青色申告を利用するための申請です。開業届を出しただけで青色申告になるわけではありません。

国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」および「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」では、青色申告承認申請書の提出期限を、原則として青色申告をしようとする年の3月15日までと案内しています。

その年の1月16日以後に新たに事業を始めた場合は、原則として事業開始日から2か月以内です。期限を過ぎると、その年分から青色申告を利用できないことがあるため、開業後に帳簿を整え始める人ほど注意したい点です。

青色申告には、一定の要件を満たした場合の青色申告特別控除、純損失の繰越しなどの制度があります。ただし、控除の要件には帳簿の作成・保存や申告方法などが関わるため、「申請だけすれば同じ控除を受けられる」という制度ではありません。

物販で特に見落としやすいのが、仕入れ額と、その年の必要経費が常に同じではない点です。年末時点で売れていない商品は在庫として棚卸を行い、売れた商品との対応を確認します。

私自身、勢いで仕入れを増やし、手元のお金が減っているのに、売上だけを見て「動いているから大丈夫」と考えたことがあります。実際には、売れ残った商品が増え、利益と現金残高を同じもののように扱っていたことが問題でした。

これは個別の税務処理の結論ではありませんが、物販の利益判断を誤りやすい典型です。仕入れが増えた月ほど、売上、販売手数料、在庫、現金を分けて見る必要があります。

※画像はAIによるイメージ

確認したい数字は、次の4つです。

  • 販売手数料と送料を引いた後の入金額
  • 売れた商品の仕入れ原価
  • 月末・年末に残る在庫の数量と金額
  • 返品、値下げ、破損、キャンセルを含めた実質利益

この節の要点は、青色申告は別申請であり、物販では在庫確認が利益計算の土台になることです。 正確な記帳方法や所得区分は、最新の国税庁案内や税理士に確認してください。


副業の確定申告は20万円から?売上ではなく所得で判断

副業の「20万円」は売上ではなく、原則として必要経費を差し引いた所得金額の基準です。 年末調整済みの給与所得者など一定の条件では、給与・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えると、所得税の確定申告が必要となります。

根拠として、国税庁「給与所得者の確定申告」および令和7年分確定申告特集「申告が必要かなどを調べる」では、給与を1か所から受け、給与の全部が源泉徴収の対象である場合などに、給与・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える人を申告が必要な例として示しています。

物販で、売上30万円、仕入れ・販売手数料・送料・梱包資材などの必要経費が18万円なら、単純化した所得は12万円です。この例だけで申告不要と断定はできませんが、「売上30万円だから申告が必要」と考えるのは正確ではありません。

反対に、所得が20万円以下でも、医療費控除、寄附金控除、住宅ローン控除の初年度など、別の理由で確定申告をする場合は、副業所得も含めて申告する必要があります。

また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。住民税は居住する市区町村が扱うため、申告要否や提出方法は自治体の案内で確認してください。

副業を始めた日から、次の記録を残しておくと後から確認しやすくなります。

  • 販売サイトの売上明細、請求書、振込明細
  • 仕入日、仕入先、商品名、数量、金額が分かる記録
  • 販売手数料、送料、梱包資材、広告費などの明細
  • カードや決済サービスの利用履歴
  • 月末・年末の在庫リスト
  • 私用と共用する支出の業務利用分と按分根拠のメモ

レシートを保存するだけでは、後から何の支出だったのか分からなくなることがあります。梱包資材なら「発送用」、交通費なら「仕入れ先訪問」など、短いメモを残すだけでも帳簿作成時の迷いを減らせます。


物販・せどりで副業開始するなら古物商許可は必要?

中古品を営利目的で仕入れ、継続して販売する物販・せどりでは、古物商許可の要否を確認する必要があります。 自分の不要品を売ることと、中古品を仕入れて販売することは同じではありません。

古物営業法に関する許可は都道府県公安委員会の制度です。確認先は、営業所所在地を管轄する警察署、または都道府県警察の古物商許可担当です。

警察庁の古物営業に関する案内では、古物の売買、交換、委託を受けた売買などが制度の対象として整理されています。一方で、自己使用のために購入した物を売る場合など、取引の目的や取得方法によっては対象外となり得る類型もあります。

そのため、「中古品を売るならすべて許可が必要」「フリマアプリなら許可は不要」といった一律の理解は避けるべきです。商品が新品か中古か、どのように取得したか、営利目的で反復継続しているかを整理したうえで、警察へ確認してください。

※画像はAIによるイメージ

古物以外にも、商品によって確認先が変わります。

  • 食品の製造・加工・販売:保健所、自治体の食品衛生担当
  • 酒類の継続的な販売:所轄税務署、国税庁の酒類販売業免許案内
  • 化粧品、医薬品、医療機器:都道府県の薬務担当部署、薬機法の案内
  • 電気用品:経済産業省の電気用品安全法、リコール情報
  • ブランド品やキャラクター商品:真贋、商標権・著作権、販売先規約、仕入先資料
  • 輸入品:税関、表示、成分、販売規制

物販で起こりやすい手戻りは、利益計算が合いそうな商品を見つけてから、販売規約や許認可を調べることです。販売できない、真贋を説明できない、許可の条件に合わないと分かったとき、仕入れ代金だけが在庫として残ります。

筆者としては、「利益が出そうな商品を探す力」と同じくらい、「扱わない商品を決める力」が重要だと考えます。仕入れ前に、販売可否、仕入先の証明、商品の状態、許認可を確認する順番を決めておくと、焦りで判断する場面を減らせます。


副業開始後に整える口座・帳簿・住民税の準備

副業開始後は、生活費と副業のお金をできるだけ分け、月ごとに売上・経費・在庫を確認できる形を作ります。 事業用口座やカードは必須ではありませんが、取引を追いやすくする助けになります。

生活用口座に仕入れ、売上、家賃、食費が混在すると、申告前に履歴を見返す負担が増えます。すぐに専用口座を用意しなくても、副業用のカード、決済サービス、入出金口座を一つ決めるだけで整理しやすくなります。

毎月末には、難しい経営分析よりも、次の5点を同じタイミングで確認してください。

  • その月の売上と販売手数料
  • 仕入れ額と仕入れた数量
  • 発送費、梱包費、返品、値下げの額
  • 月末在庫の数量と概算金額
  • 次の仕入れに使える現金残高

この確認を続けると、「売上は増えたのに現金が増えない」理由を分けて見つけやすくなります。在庫の増加、手数料、値下げ、仕入れ過多を、売上の数字だけで覆い隠さないためです。

副業の住民税の扱いも、勤務先がある人には気になる点です。ただし、普通徴収を選べるか、どの所得が対象になるかは、所得の種類や自治体の取扱いによって異なります。確定申告書の選択だけで解決すると決めつけず、居住地の自治体に確認してください。


副業開始の手続きで見落としたくない考察と見通し

副業の手続きを調べると、開業届、青色申告、20万円、古物商許可という言葉が目立ちます。しかし、私がより重要だと考えるのは、毎月の取引を説明できる状態を作ることです。

物販は、販売サイトから入金があれば順調に見えます。しかし、その裏には仕入れ、送料、販売手数料、返品、在庫があります。売上の増加と現金残高の減少が同時に起こることもあり、ここを見誤ると追加の仕入れ判断まで狂います。

私の過去の在庫失敗も、商品ごとの利益ではなく、仕入れ総額と入金額を大ざっぱに比べていたことが一因でした。売れ残りを「次に売れるはず」として計算から遠ざけると、実際に使えるお金が把握しにくくなります。

この経験から、物販では月末に在庫を数え直し、仕入れ前に販売可否を確認する作業を省かないほうがよいと感じています。華やかな作業ではありませんが、損失や手戻りを避ける判断材料になります。

今後も、販売プラットフォームの規約、税務の案内、商品規制は更新される可能性があります。副業の規模が小さいうちから、一次情報の確認先を決めておくことは、事業を大きく見せるためではなく、誤った前提で進まないための準備です。

税務なら所轄税務署や税理士、古物・営業許可なら警察署、保健所、行政書士など、論点に合う窓口を使い分けてください。早めの確認は、仕入れた後に困る可能性を抑える現実的な手段です。


まとめ

副業開始の手続きは、まず勤務先の就業規則を確認し、売上・経費・証憑を記録し、業種ごとの許認可を調べることから始まります。

開業届は新たに事業を開始した人が検討する届出で、青色申告とは別の手続きです。青色申告を希望する場合は申請期限があるため、開業後に慌てないよう準備しましょう。

副業の20万円基準は売上ではなく所得です。所得税の確定申告が不要となる場合でも、住民税申告が必要になることがあるため、自治体の案内も確認してください。

物販・せどりでは、古物商許可や商品別規制、在庫管理が重要です。仕入れ前の確認と月末の棚卸を続けることが、損や手戻りを避けるための堅実な土台になります。


よくある質問

副業を始めるだけで開業届は必要ですか?

副業を始めた全員に一律で必要となるわけではありません。新たに事業を開始した場合に検討する届出であり、副業の継続性や実態を踏まえて判断します。国税庁の最新案内と所轄税務署に確認してください。

副業の売上が20万円以下なら確定申告は不要ですか?

20万円は売上ではなく、原則として必要経費を差し引いた所得の基準です。一定条件の給与所得者では所得税の確定申告が不要となる場合がありますが、住民税申告や、ほかの理由による確定申告が必要な場合があります。

せどりで中古品を販売するなら古物商許可は必要ですか?

営利目的で中古品を仕入れ、継続して販売する場合は古物商許可の要否が論点になります。自己使用品の売却など対象外となり得る類型もあるため、仕入れ方法、販売方法、商品内容を整理し、営業所所在地を管轄する警察署または都道府県警察に確認してください。

開業届を出せば個人事業主として青色申告できますか?

できません。開業届と青色申告承認申請書は別の書類です。青色申告を希望する場合は、国税庁が案内する期限までに青色申告承認申請書を提出し、必要な帳簿・保存要件を満たす必要があります。

参考にした公的情報

  • 国税庁「開業する場合」:個人事業の開業・廃業等届出書の提出期限、2026年8月26日確認
  • 国税庁「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」:開業時の主な届出・申請と期限、2026年8月26日確認
  • 国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」:青色申告承認申請書の対象者・提出時期、2026年8月26日確認
  • 国税庁「給与所得者の確定申告」:給与所得者の申告が必要となる主な場合、令和7年分案内を2026年8月26日確認
  • 国税庁「令和7年分 確定申告特集 申告が必要かなどを調べる」:給与以外の所得が20万円を超える場合の案内、2026年8月26日確認
  • 警察庁「古物営業法に関する案内」および各都道府県警察の古物商許可案内:古物営業の確認先・許可制度、2026年8月26日確認
  • 居住地の市区町村の住民税申告案内、管轄保健所等の営業許可案内:住民税と商品別規制の確認先、2026年8月26日確認
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