休職中のアフィリエイトは、就業規則・傷病手当金・主治医・税金の4点を確認せずに始めると、懲戒処分や手当の返還につながる恐れがある行為です。
法律で一律に禁止されているわけではありません。しかし「在宅だから大丈夫」と考えて確認を省くと、収入どころか復職や生活の土台まで揺らぎかねません。
この記事では、休職中に副業アフィリエイトを検討している方に向けて、始める前に確認すべき4つのポイントを順番に整理します。
こんにちは、黒田慎一です。物販やせどりを中心に、副業まわりの情報を「調べてから動く」スタンスで発信しています。
休職中は収入が減る不安から、「在宅でできるアフィリエイトなら…」と考える方が多いようです。ただ、この分野は確認を省いた人から順に損をする典型的なテーマです。順番に見ていきましょう。
休職中の副業アフィリエイトは法律で禁止されている?
結論から言うと、民間企業の会社員について、休職中の副業そのものを禁止する法律はありません。
労働者が勤務時間外に何をするかは本来自由であり、就業規則などに副業(兼業)の禁止・許可規定がなければ、会社が一律に制限することは基本的にできない、というのが労働法分野の一般的な解説です。
つまり「休職中のアフィリエイト=即アウト」ではないのです。
ただし、実際の判断の分かれ目は法律ではなく、あなたの会社の就業規則がどう定めているかにあります。
多くの企業は就業規則に副業規定を置き、禁止または許可制にしています。規則に反して独断で始めれば、懲戒処分や、最悪の場合は解雇の対象となる恐れがあります。
なお、公務員は事情が別です。国家公務員は国家公務員法103条・104条、地方公務員は地方公務員法38条により、営利企業への従事などが原則として制限されています。休職中であってもこの枠組みは変わらないため、公務員の方はより慎重な確認が必要です。
確認事項の1つ目は「就業規則の副業規定を読むこと」。すべてはここから始まります。
休職中の副業はなぜ問題?判例と法的位置づけ
休職期間は、心身の療養と職場復帰の準備に専念するための期間です。この位置づけが、副業が問題視される根っこにあります。
休職制度は労働基準法に定めがなく、就業規則で任意に設ける制度ですが、多くの企業が休職規程を置いています。法的には「本来なら解雇になり得る状態を、解雇せずに猶予する措置」と説明されるのが一般的です。
この構造を踏まえると、会社側から見た休職中の副業は「療養に専念すべき期間に、別の仕事をする体力はあるのか」と映りかねません。
副業と懲戒をめぐる代表的な裁判例としては、小川建設事件(東京地裁・昭和57年決定)が知られています。無断で深夜のアルバイトを続けた従業員の解雇について、本業への支障などを考慮して有効と判断された事案で、「勤務時間外でも、労務提供に支障が出る兼業は問題になり得る」ことを示した例として、今も副業解説で頻繁に引用されます。
特にうつ病や適応障害などのメンタル不調による休職では、副業活動が症状悪化のリスクになり得るため、療養中の就労を会社が認めない運用が広く見られます。
アフィリエイトは在宅とはいえ、記事作成やサイト運営には相応の集中力が必要です。「療養に専念できないのに副業はできる」という矛盾を突かれれば、復職の判断にも影響しかねません。

傷病手当金の受給中にアフィリエイトはできる?主治医の確認も必須
休職中に新たにアフィリエイト活動を始めることは、傷病手当金の受給条件と正面から矛盾しかねない行為です。ここが最も慎重になるべきポイントです。
傷病手当金は、業務外の病気やケガで「仕事に就けない(労務不能)」と判断された人の生活を支える健康保険の制度です。支給日額は、直近12ヶ月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2が目安になります(端数処理があるため正確な額は加入先の案内で確認してください)。
支給期間は、2022年の制度改正以降、支給開始日から通算1年6ヶ月です。途中で復職して不支給の期間があっても、その分は通算からカウントされない仕組みに変わりました。「あと何ヶ月受給できるか」は生活設計の土台になるので、まず自分の残り期間を把握しておきましょう。
重要なのは、受給の前提が「労務不能であること」だという点です。
療養期間中に自ら働いて収入を得れば、「働けない状態」という前提が崩れ、不正受給とみなされて支給停止や返還を求められる恐れがあります。
では、アフィリエイトのような収入はどう扱われるのでしょうか。一般的な整理はこうです。
- 預貯金の利息、株式の配当、管理委託している家賃収入など、労働を伴わない収入は支給に影響しないのが基本
- 自ら稼働する事業など「実質的な労働」にあたる活動は、支給対象外と判断され得る
この整理に当てはめると、アフィリエイトは中間のグレーゾーンに位置します。
- 休職前に作ったサイトから自動的に発生している収益 → 不労収入に近い性質
- 休職中に新たに記事を書き、サイトを運営して稼ぐ → 労働とみなされる可能性が高い
判断が分かれる領域だからこそ、自己判断は禁物です。必ず事前に、加入先の健康保険組合(協会けんぽ含む)へ確認すること。これが2つ目の確認事項です。
そしてもう一つ、見落とされがちなのが主治医への相談です。
「サイト運営くらいなら」と自分では思っても、集中力を要する作業が療養の妨げになるかどうかは、医学的な判断の領域です。副業の可否以前に、その活動が回復を遅らせないかを主治医に確認しておくことは、健康面でも、後の復職判断でも、自分を守る材料になります。これが3つ目の確認事項です。
会社に相談するなら誰に・どう切り出す?具体的な進め方
どうしても副業を希望するなら、隠れて始めるのではなく、事前に会社へ相談するのが筋です。ここでは実際の進め方を整理します。
相談の窓口は、直属の上司ではなく人事・労務担当が基本です。休職中の窓口が人事に一本化されている会社が多く、就業規則の解釈権限も人事側にあるためです。
切り出し方は、次の3点をセットで伝えるのが誠実です。
- 検討している活動の内容(アフィリエイト=自分のサイト運営で広告収入を得るもの、と具体的に)
- 想定する作業時間・頻度(週◯時間程度など、療養に支障がない範囲であること)
- 主治医に相談済みか、これから相談する予定であること
そして重要なのが、やり取りを口頭で終わらせず、メールなど記録が残る形にしておくことです。後から「聞いていない」「許可していない」という食い違いが起きたとき、書面やメールの記録があなたを守ります。
会社が「休職中は認められない」と回答したら、その判断には従うのが安全です。無理に押し通して得られるものより、失うものの方がはるかに大きい局面だからです。
休職中のアフィリエイト収入は会社にバレる?発覚経路は主に2つ
発覚経路は、①住民税の特別徴収と、②税務署側の把握体制の2つに整理できます。「ネット完結だからバレない」は通用しにくいのが実情です。
1つ目は住民税の増加です。
アフィリエイト所得を確定申告すると住民税も増えます。住民税は原則として本業の給与から天引き(特別徴収)されるため、税額の変化から会社に収入増が伝わる可能性があります。
対策として、アフィリエイトのような雑所得・事業所得であれば、確定申告書の第二表で住民税を「普通徴収(自分で納付)」に設定でき、通知リスクを下げられる場合があります。ただし自治体により運用が異なり、確実な方法ではありません。
また、アルバイトなど給与所得の副業は、そもそも普通徴収を選べないのが原則です。「普通徴収にすればバレない」という情報は、所得の種類によって前提が変わる点に注意してください。
2つ目は、税務署側の把握体制です。
アフィリエイト収入は「ネットだから見つかりにくい」どころか、むしろ記録が残りやすい収入です。ASP(A8.netなど)や広告事業者が税務署へ提出する支払調書、銀行口座の入出金履歴、ブログやSNSでの収益報告が、そのまま把握の材料になります。
さらに国税局には電子商取引専門調査チームが置かれ、ネット取引を監視しています。ASP側への税務調査から高額報酬者が把握され、そこから個人へ調査が及ぶ流れも税務の解説で紹介されており、数字とログはすべて残っているわけです。
なお、マイナンバーによって副業収入が会社へ直接通知される仕組みはありません。マイナンバーが強めるのはあくまで税務署側の所得把握であり、会社への発覚は主に住民税経由。この2つは分けて理解しておくと混乱しません。
確定申告は年間20万円から|住民税申告の落とし穴
税金面の確認事項も押さえておきましょう。ここは制度として確定している部分なので、はっきり書きます。
会社員の副業では、アフィリエイトの年間所得(収入から経費を引いた額)が20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です。
そして見落としやすいのが住民税です。所得20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、市区町村への住民税の申告は別途必要です。「20万円以下なら何もしなくていい」は誤解です。
所得区分は、少額・単発なら雑所得、継続的なサイト運営で安定収入がある場合などは事業所得と判断される傾向があります。
無申告のまま後から発覚すれば、無申告加算税や延滞税が上乗せされます。収入を増やしたいはずの休職中に、追徴で手元資金が減っては本末転倒です。これが4つ目の確認事項です。

やる前に確認すべき4つのチェックリスト
ここまでの内容を、確認の順番に沿って整理します。
| 確認事項 | 確認先 | 怠った場合のリスク |
|—|—|—|
| ① 就業規則の副業規定 | 会社の就業規則・人事 | 懲戒処分・解雇の恐れ |
| ② 傷病手当金の受給条件 | 加入先の健康保険組合 | 不正受給・支給停止・返還 |
| ③ 療養への影響 | 主治医 | 症状悪化・復職の遅れ |
| ④ 確定申告・住民税 | 税務署・市区町村 | 無申告加算税・会社への発覚 |
順番は、まず就業規則、次に健康保険組合、そして主治医、最後に税金。この流れなら大きな見落としは防げるはずです。
考察:休職中のアフィリエイトは「収入源」より「地雷原」に近い
ここからは、副業リサーチャーとしての私見です。
まず軸に据えたいのは、「バレるかどうか」以前に「復職という本来の目的を遠ざけないか」という視点です。休職中の副業を考えるとき、多くの人は発覚リスクばかり気にしますが、本当に守るべきは復職と回復の道筋であり、そこを損なう選択は仮にバレなくても損だと私は考えます。
その上で各制度を突き合わせると、休職中のアフィリエイトはリスクとリターンが釣り合っていません。
アフィリエイトは即金性のある副業ではありません。記事を書き、サイトを育て、検索エンジンに評価されるまで数ヶ月〜1年単位の時間がかかるのが一般的です。休職期間中に始めても、収入面での即効性はほぼ期待できません。
一方でリスク側には、懲戒の可能性、傷病手当金の返還、税務調査で把握されやすい収入構造と、地雷が三重に埋まっています。
私は物販の情報を追う中で、「ネットだから匿名」「少額だからバレない」という思い込みが崩れるパターンを繰り返し見てきました。典型的な流れを一つ描くと(複数の公開事例をもとにした構成例です)、フリマやせどりで月数万円を数年続けた人が、プラットフォーム側への税務調査をきっかけに取引履歴を照合され、3年分の申告漏れをまとめて指摘され、加算税・延滞税込みで数十万円規模の納税を迫られる——こういう形です。本人は「バレるとしても自分の申告から」と思っていますが、実際の入口は取引先側の記録であることが多い。アフィリエイトの支払調書も、構造はまったく同じです。
今後の見通し:副業は「やりやすく、隠しにくく」なる
方向性は二本の線で読めます。一つは副業容認の流れです。厚生労働省は2018年にモデル就業規則を改定し、副業・兼業を原則容認する書きぶりに変えました。企業の副業解禁は今後も広がると考えられます。
もう一つはデジタル把握の強化です。電子取引データの保存ルール整備やインボイス制度など、お金の流れを記録ベースで捉える仕組みは年々強まっています。
つまり「副業はやりやすくなるが、隠すのはますます難しくなる」。この二本の線が交わる先では、正面から確認・申告して行う副業だけが割に合う時代になると、筆者は見ています。
だからこそ、休職中の今は無理をしない。収入不安には、固定費の見直しや、自治体の支援金・生活福祉資金貸付制度など公的制度の確認で対応する方が、体への負担なく確実です。
アフィリエイトに興味があるなら、復職して体調と生活が安定してから、就業規則を確認したうえで小さく始める。地味な確認を省かないことが、結局いちばん損をしない道です。
まとめ
休職中の副業アフィリエイトは、法律で一律禁止ではないものの、就業規則違反なら懲戒リスクがあり、傷病手当金の受給中に新たに稼働すれば不正受給とみなされる恐れがあります。
発覚経路は住民税の特別徴収と、支払調書などによる税務署側の把握が中心で、「バレない」前提の行動は危険です。年間所得20万円超の確定申告と、20万円以下でも必要な住民税申告も忘れてはいけません。
始める前に、就業規則・健康保険組合・主治医・税金の4点を必ず確認すること。そして休職中は療養と復職を最優先にし、収入不安には支出の見直しと公的制度で向き合うのが現実的な選択と言えるでしょう。
よくある質問
休職中にアフィリエイトを始めたら会社にバレますか?
バレる可能性は十分あります。主な経路は住民税の特別徴収を通じた税額変化です。雑所得なら普通徴収(自分で納付)の選択でリスクを下げられる場合がありますが、自治体により運用が異なり、確実な方法ではありません。
傷病手当金をもらいながらアフィリエイト収入があると不正受給になりますか?
休職前に作ったサイトから自動発生する収益は不労収入に近い扱いになり得ますが、休職中に自ら記事を書くなど稼働した場合は「実質的な労働」とみなされ、支給停止や返還のリスクがあります。必ず事前に加入先の健康保険組合へ確認してください。
傷病手当金はいつまでもらえますか?
支給開始日から通算1年6ヶ月です。2022年の改正で「通算」方式となり、途中で復職して不支給だった期間は残り期間から差し引かれません。正確な残期間は加入先の健康保険組合で確認できます。
アフィリエイト収入がいくらから確定申告が必要ですか?
会社員の副業なら、年間所得(収入−経費)が20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。20万円以下でも、市区町村への住民税の申告は別途必要です。
